辨 |
ダリア属 Dahlia(大麗花 dàlìhuā 屬)は、メキシコ~コロンビアに約27-40種がある。
ヒグルマダリア D. coccinea(紅大麗花)
コダチダリア D. imperialis(帝王大麗花)
フジイロテンジクボタン D. merckii(光滑大麗花)
ダリア D. pinnata(大麗花)
カクタスダリア D. × jaurezii
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キク科 Asteraceae(菊 jú 科)の植物については、キク科を見よ。 |
訓 |
属名 Dahlia は、スウェーデンの植物学者ダール A.Dahl(1751-1789)にちなむ。彼は、リンネの弟子。 |
漢名の大麗・大理は、dahlia の音写。 |
説 |
メキシコ原産の D. pinnata の園芸品。その種子が1789年にヨーロッパに入り、以後改良を重ねて今日に至る。
日本には、1842年ころに渡来。 |
雌性両全性同株。 |
誌 |
アステカ族の人々は、16世紀には薬用に栽培していた。
1789年 ヨーロッパに種子が入り、1791年 ダリアと名づける。
1804年 フンボルトはメキシコからベルリン植物園に種子をもたらし、これより栽培・改良が広まった。品種の数は、1830年千を超え、1955年頃には三万を超す。
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中国では、塊根を薬用にする。 |
江戸には、天保12年(1841)オランダから長崎に入り、六年後 にわかに流行した。 |
兼鍛治のとこへ往ったら、・・・家は柱も敷居も怪しくかしげては居るけれども、表手(おもて)も裏も障子を明放して、畳の上を風が滑ってくるように涼しい、表手の往来から、裏庭の茄子(なす)や南瓜(かぼちゃ)の花も見え、鶏頭(けいとう)鳳仙花(ほうせんか)天竺牡丹の花などが背高く咲いているのが見える、・・・よくこんなにいつも花を絶やさずに作ってますねと云うと、あアに家さ作って置かねいと時折仏様さ上げるのん困るからと云ってる、・・・(伊藤左千夫『姪子』1909。舞台は千葉県成東地方) |
家鴨(あひる)らに食(は)み残されしダアリアは暴風(あらし)の中に伏しにけるかも
(1914,斉藤茂吉『あらたま』)
薄あかり紅(あか)きダリヤを襟にさし絹帽(シルクハット)の老かがみゆく
花園の別れ六首
君と見て一期の別れする時もダリヤは紅しダリヤは紅し
君がため一期の迷ひする時は身のゆき暮れて飛ぶここちする
哀しければ君をこよなく打擲(ちょうちゃく)すあまりにダリヤ紅く恨めし
紅(くれない)の天竺牡丹ぢつと見て懐妊(みごも)りたりと泣きてけらずや
身の上の一大事とはなりにけり紅きダリヤよべにダリヤよ
われら終にダリヤを喰ひつくす虫の群かと涙ながすも
烏羽玉の天竺牡丹咲きにけり男手に取り涙を流す
烏羽玉の黒木ダリヤにあまつさへ日の照りそそぐ日の照りそそぐ
(北原白秋『桐の花』1913)
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1963年以来 メキシコの国花。 |